早漏とは?・ベストケンコー
早漏とは、射精障害の症状の一つです。
辞書では、「性交の際に男性の射精が早すぎること」、「射精までに時間が短く、女性がオーガズムに達しないうちに射精をしてしまう状態」などと説明されています。
簡単に言うと、セックスを行う際に、男性がいくまで(オーガズムに達し射精するまで)の時間が短すぎる状態のことです。
明確な定義はありませんので、射精までの時間については様々な意見があるようです。
「30秒以内でいってしまうと早漏。」、「挿入してから2分もたないのが早漏だ。」、「女性が満足する前に射精するのが早漏だから、いくまでの時間は関係ない。相手とのバランス次第だ。」など様々な意見を聞いたこと、 もしくはネットで見たことがあるのではないでしょうか。
どれが正解で間違いと言うこともありませんが、海外で承認されている医薬品(日本では承認されていません)の使用基準としては、
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膣内に挿入してから、射精までの時間が2分未満
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・本人が望んでいないのに、わずかな性的刺激に対して射精してしまうことが繰り返し起こる
などが挙げられています。
ただ、挿入時間とは関係なく、自分で早いと考えるために精神的苦痛を感じていて、そのためセックスができなくなる方もいるようです。早いと考え過ぎて、自信をなくして日常生活に影響することもあるようです。そうなると人生にも影響してきますので、 このような場合には早めの治療が必要でしょう。
そのため、射精までの具体的な時間はあくまで目安として、挿入後の時間が短いと考え本人が苦痛と感じていたら、早漏と考えて改善方法・治療を行うのが妥当だと考えられます。
早漏の原因は人によって様々ですので、自身の原因を明らかにすることが重要です。そして、それを改善することにより、早漏を防止できるようになります。その結果、セックスに自信が持てるようになることでしょう。
早漏の原因
早漏を防止・治療するためには、まずは自身の早漏の原因について知ることが重要です。
そのために、一般的な早漏の原因についてどのようなものがあるのか見ていきましょう。
まずは射精のメカニズムについてです。
簡単にお示しすると
性的刺激が蓄積 → 射精中枢がGoサイン → 前立腺周辺の筋肉が反応 → 射精
となります。
性的刺激がある一定以上のラインを越えると、腰椎にある射精中枢が射精のGoサインを出します。射精中枢は神経ですので、その神経の支配する前立腺周辺の筋肉がその指示に反応し、その結果として射精が起こります。
ここで特徴的なのは、性的刺激は蓄積するということです。刺激を受ける度に射精ポイントが貯まっていくようなイメージです。セックスの際にゆっくりと動いても射精した経験はありませんか。ゆっくりと動いた場合は、激しく動いた場合に比べて、 一回当たりのペニスへの刺激は弱くなります。つまり一回に貯まる射精ポイントが少なくなります。それでも回数を重ねるといってしまうのは、射精ポイントが蓄積し、射精中枢が指示を出すGoラインを越えたためです。
また、性的刺激は、物理的な刺激と精神的な刺激の両方が関係するという特徴もあります。
物理的な刺激は、ペニスが中心となりますが、身体全体のどこでも受けることがあります。手や口、物で触れられた時(触った時)に感じるものです。
また、精神的な刺激は、視覚、シチュエーションや言葉、想像などで興奮を受ける刺激です。
セックス中に相手に何かささやかれると、それまでなんともなかったのに急に射精してしまうという方もいるようです。セックス中に別の何かを想像することで、急に興奮が高まったという経験をしたことはありませんか?
想像力が豊かな人は、こちらの影響を受けやすいと言われています。
つまり、物理的および精神的な刺激のどちらでも射精ポイントが貯まるということです。そして、それが一定以上貯まりGoラインを越えると射精するという感じです。
例えば、夢精は物理的な刺激がない状態でも射精が起こりますので、精神的な刺激による射精ポイントだけでもGoラインを越えると射精してしまうということが分かります。
早漏の方は、この射精ポイントが貯まってGoラインを越えるまでの時間が早いということになります。まだセックスに慣れていなくて、Goラインそのものが低い場合もあるでしょうし、ペニスが敏感で物理的刺激によるポイントが貯まりやすい場合もあるでしょう。 もしくは想像力が豊か過ぎて、挿入する前にGoラインを越えてしまう場合もあるかもしれません。これらのいずれかが、早漏の原因となっている方が多いようです。
また別の原因としては、勃起不全が挙げられます。
早漏と勃起不全が関係しているだろうとする論文報告があるためです(J Sex Med. 2015, 12)。
勃起不全には、いわゆる中折れの症状も含まれます。挿入できるが射精に至る前に萎えてしまう状態ですので、早くいかなければというプレッシャーで激しく動いてしまう(物理的刺激が大)ことが一因であると考えられます。もちろん精神的なプレッシャーで、 射精中枢のGoライン自体が下がってしまう可能性もありえます。
以上の点から考えると、早漏の方は
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Goラインが低い
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物理的刺激に弱い(射精ポイントが貯まりやすい)
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精神的刺激に弱い
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勃起不全
のどれか、もしくはいくつかが該当すると考えられます。それが早漏の根本的な原因と言うことになります。
つまり、自身の原因がどれに該当するかを考えることが、早漏防止を考える上で重要となります。
そして、これらの原因を改善することが、早漏防止に繋がります。
医薬品で早漏改善
では、先程お示しした原因について、改善していくためにはどのような方法があるかについて見ていきましょう。
早漏防止効果があるとされている方法は以下の通りです。
A: 勃起中枢のGoラインを上げる
B: 医薬品を用いて刺激ポイントを減らす
C: 物理的な方法により物理的刺激を減らす
D: 肉体的、精神的に余裕がある生活習慣にする
連続でセックスをした際に、1回目よりも2回目の方がいくまでの時間がかかったという経験は多くの方がしていることでしょう。大半の方はその通りで、一度射精した後しばらくは、射精中枢のGoラインが上がると考えられています。
そのため、セックスの前にマスターベーション(オナニー)を1、2回しておくというのも対策の一つです。
ここでは、医薬品、特に内服薬を用いた早漏防止について説明します。
(B)の医薬品を使う方法は大きく三種類に分けられます。精神的刺激を改善する、物理的刺激を改善する、勃起不全治療です。
精神的刺激を改善する内服薬ですが、これは以前から抗うつ薬が早漏に効果があると言われていましたので、そこに注目したものです。
詳しいメカニズムは不明ですが、脳内のセロトニンが関与しているとされています。
セロトニンは神経伝達物質で、脳内にセロトニンが不足すると早漏になりやすいという仮説もあります。脳内のセロトニン量を増やすことができる抗うつ薬が、実際に早漏防止効果を示しているので、この仮説が有力だと考えられます。
もちろん射精中枢にも影響している可能性もありますので、そちらの効果も期待できるかもしれません。
ただし、これらの抗うつ薬では効果が出るまでに時間がかかる点と副作用が問題となっていました。そこで新たに開発されたのが、ダポキセチンという薬です。
ダポキセチンは、脳内のセロトニンを増やす作用を持っています。抗うつ薬と異なり、早漏治療薬として開発されましたので、早漏防止効果を発現するまでの時間が早い、副作用が少ない・軽度という特徴があります。
有効性、安全性が高いため、欧米では既に早漏治療薬として発売されています。日本では、早漏が病気という認識が少ないため、発売されるのは当分先のことかもしれません。
ただ、海外から個人輸入という形で購入する(個人輸入代行)ことができますので、使用することは可能です。
ダポキセチンを含有する製品としては、「ポゼット」、「エバーラスト」、「プリリジー」などがあります。
精神的刺激に弱いなと感じていたら、一度試してみるのも良いと思います。
また、物理的刺激を改善する内服薬として、トラマドールが効果ありとの論文報告があります。トラマドールは、日本では脳内に作用するタイプの鎮痛薬として承認されています。局所(早漏の場合はペニス)での刺激を鈍くする働きがありますので、 それが早漏防止効果として出てくるのでしょう。
ただ、物理的刺激を下げる方法としては、後に説明する局所麻酔剤の方が副作用の心配が少なく使いやすいので、そちらの使用をお勧めします。
最後の勃起不全の治療薬ですが、これはバイアグラなどのED治療薬を使うことが推奨されています。
勃起不全に対しても、早漏に対してもダブルの効果が認められるメリットが大きい改善法です。
勃起不全が原因の早漏には効果が認められるようですので、中折れが気になっている、最近早漏になったという方にお勧めの治療薬です。
さらに、ED治療薬の成分と先程紹介したダポキセチンの両方が配合されている製品もあります。「スーパーカマグラ」、「エクストラスーパーPフォース」、「スーパータダライズ」、「エクストラスーパーアバナ」などです。
先程の述べたようにダポキセチンはまだ日本では承認されていませんので、これらはいずれも海外の製品になります。
早漏に効果がある薬が二種類配合されており、勃起力も持続力も上がりますので、セックスライフを特に充実させたい方、最近性的な体力が落ちてきたと感じている方はぜひチェックしてみてください。
早漏の防止方法(リドカインの局所麻酔)
次に外用薬による早漏防止方法を紹介します。
これでよく使われるのがリドカインという薬です。歯医者で歯を抜く前、削る前に麻酔をした経験があると思いますが、その時に使われることが多いのがこのリドカインになります。
注射器で歯茎に麻酔をされてしばらくすると、その周囲の感覚が無くなった記憶をお持ちだと思います。
あれが局所麻酔薬の効果です。使った部位の周辺だけの感覚を麻痺させることができるのです。
それを早漏防止として考えると、ペニスの感覚を麻痺させることにより、物理的刺激を減らすことが改善策となります。
リドカインをスプレーとしてペニス全体に噴射する、またはゲルとしてペニスに塗ることで早漏防止効果が期待できます。ペニスにのみ使うため、全身性の副作用がほとんど出ないのが特徴です。
物理的な刺激に弱い方にお勧めの方法です。
ゼリー状のものやスプレーなどリドカインの外用薬はありますが、日本では保険適応外ですので、入手するのが難しいかもしれません。
そこで、こちらも個人輸入代行を使うことが手軽な入手方法となります。
リドカインが入った製品としては、「ピゴラスプレー」などがあります。海外で使用量が多い早漏防止スプレーです。
セックスの前にペニスに直接3、4回スプレーすることで、ペニスの感覚を麻痺させることができます。それが物理的な刺激による射精ポイントの上昇を減らすことになり、早漏防止効果が期待できます。
ただ、そのまま挿入してしまうと、リドカインの局所麻酔効果がパートナーにも出てしまいますので、一度洗い流してから挿入するか、コンドームを使用するようにしてください。
早漏の防止方法(スクイーズ法)
これは、(C)の「物理的な方法により物理的刺激を減らす」に属する改善策です。
いくつか改変された方法も出回っているようですが、基本的には射精ポイントが貯まって射精が近づいてきたら、ペニスを強く握ることにより貯まった射精ポイントを発散させるというものです。
これを数カ月単位で繰り返すと、射精中枢のGoラインが上がるという仮説に基づいています。実際に射精までの時間が長くなったとの報告もありますので、効果はあると考えられます。
ただし、実際に行うには時間もかかりますし、ペニスを握るタイミングも個人差があるので、実施するのは困難かもしれません。
この他にも(C)に該当するものとして、厚めのコンドームを使うという改善策もあるようです。コンドームを使うと使わない時よりも鈍感になるという方は、早漏防止効果が期待できると思います。
さらに内部に、上で紹介した局所麻酔薬が塗られているコンドームもあります。異なる二つの効果により、物理的刺激を大きく減らしてくれます。製品としては、海外のメーカーが製造している「ロングラスト」があります。
これらは「早漏防止コンドーム」として発売されていますので、インターネットで検索すると容易に見つかるでしょう。
医薬品と併用することでより高い早漏防止効果が期待できますので、医薬品だけでは満足できない場合には、併用をお勧めします。
生活習慣による早漏改善
最後に(D)の「肉体的、精神的に余裕がある生活習慣にする」についてです。
脳内のセロトニンが早漏の方では減っていることがあると説明しましたが、そのセロトニンを生活習慣で増やすことも可能だと言われています。
簡単にまとめると、気分が落ち込む時にセロトニンが減る感じです。
ですので、ストレスを溜めない、溜めてもリフレッシュして発散させることが早漏防止にも繋がります。
具体的で現実的な方法としては、適度な運動をする、趣味でストレスを発散させる、朝起きた時に太陽の日差しを浴びるなどが考えられます。
また、勃起不全を伴う早漏の改善方法としては、食事やサプリメントによる栄養素の補給があります。
いくつかのミネラルやビタミンが関係しているとされていますが、その中でも勃起不全に最も重要なものは「亜鉛」です。
射精すると亜鉛が消費されるとの説がありますので、セックスの回数が多い方は亜鉛不足に陥りやすいと考えられます。早漏で射精の回数が多い方は慢性的な不足の可能性もあるため、要注意です。
そのような方は、食事やサプリメントで亜鉛を補給すると良いでしょう。
牡蠣、煮干し、牛肉、乳製品、松の実などに多く含まれます。